ねこ館長日記

俳人石寒太先生の解りやすい俳句・連句論

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6月21日に開催した一茶記念館講座では、俳人で、「炎環」主宰、「俳句αあるふぁ」編集長の石寒太先生に「行きて帰る心」と題してご講演いただきました。

題からは、非常に難しい内容を想像されるかもしれませんが、さにあらず、松尾芭蕉の俳論「くろさうし」にある演題の言葉をキーワードに、多数で作る「ダイアローグ」である連句が、芭蕉によって歌仙になり、さらに、明治時代に正岡子規によってその発句部分だけが独立して、個人で作る「モノローグ」の俳句になっていった過程を、非常にわかりやすく解説していただきました。

「行きて帰る心」とは、俳句(発句)において、一つの方向に向かった心を、もう一度引き戻す形にすることがポイントであるという意味です。石先生は、明暦の大火で庵が焼失したのち、旅に死ぬ一生を選んだ芭蕉の生き方を例に、ご自身の闘病体験にも触れながら、人生もまた「行きて帰る心」だと、残りの人生を、最期に良かったと振り返れるものに今からでもしていきましょうと、集まった皆さんに語られ、会場からも盛大な共感の拍手が送られました。