6月25日に第2回一茶記念館講座を開催しました。
今回は、近世民衆史・教育史の専門家で、著作も多数ある、国立歴史民俗博物館名誉教授の高橋敏先生をお招きし、「江戸の平和力―俳人一茶と百姓弥太郎―」と題してお話しいただきました。
高橋先生は、今回の講座のために約半年間にわたって綿密なご準備をいただきました。一茶は突如北信濃に現れたのではなく、近世北信濃の高い文化レベルが一茶を生み、晩年に帰郷した一茶を受け入れたという視点から、本を一冊書けるほど、多数の地方資料を読み解き、一茶と北信濃の文人、文化の源泉について調査され、それを基に講義していただきました。
一茶を庇護した柏原宿の本陣中村六左衛門家や、中野で江戸の文人たちを迎え入れ、晩晴吟社に関わった山田松斎の再評価、そして、天領支配における中野代官と、地方豪農たちの関係などから、一茶の生きた時代の北信濃を活き活きと解説いただき、また、一茶についても、なぜ柏原に門人ができなかったのかを、地域コミュニティとの付き合い方という新たな視点で論じていただきました。
先生の一茶と北信濃の研究にかける熱意が会場にも伝わり、会場全体が熱気を帯びたように感じた講演は、異例の30分延長でしたが、参加した皆さんからは、非常に好評価していただきました。