5月28日に今年度の第一回一茶記念館講座を開催しました。
今回は、信濃毎日新聞一面で、俳句鑑賞「けさの一句」を連載されている、俳人の土肥あき子さんに、「俳句の鑑賞 鑑賞によって見えてくるもの」と題してお話しいただきました。
信濃毎日新聞だけでなく、多数の新聞誌上や、インターネット上でも俳句鑑賞の連載をされている土肥さんは、俳句の鑑賞について、実作者でもあるという立場から、俳人飯田龍太の言葉を引用して、「実作と鑑賞とは俳句の両輪である」と話され、「朴散華」という季語を例に、散華はいさぎよく散る姿を言うが、実際には朴の花は茶色く萎れていくことから、歳時記に載っている言葉を鵜呑みにすると、鑑賞するものに誤解を与えてしまうこともあると、その大切さを話されました。
また、土肥さんは大のネコ好きで、猫に関する著作もあります。今回は、江戸時代から、明治大正をへて現代までのネコの俳句を鑑賞し、時代の経過とともにネコと人との関係性が移り変わっていく様子について、ネコ好きならではの視点でお話しいただきました。
涼やかな着物姿でご登場いただいた土肥さんの講演は大盛況で、近年類を見ない多数のお客様にご来館いただきました。
また、暖かくなると資料棟の隠れ家に潜みがちな当館のネコ館長うみちゃんも、今日ばかりは土肥さんにしっかりごあいさつ。いつものように愛想はあまりありませんが、館長としての務めを果たしました。